2013年12月7日土曜日

株主による株主総会の招集~会社に対する株主総会招集請求と裁判所に対する株主総会招集許可の申立~

日比谷ステーション法律事務所の弁護士田原です。

 会社法は毎年事業年度終了後一定の時期に株主総会を招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項)、閉鎖会社、殊に同族会社の場合には株主総会が開催されないことが常態化しているというケースが多く見受けられます。
 株主総会の不開催に対して会社法は過料の制裁を規定していますが(会社法第976条第18号)、株主総会の不開催が常態化しているような会社においては、株主総会が開催されないことに違和感を感じる人も多くなく、問題が顕在化しないのです。

 しかし、経営陣や株主の世代交代が生じるタイミングや経営状況が悪化して会社の建て直しが必要となったタイミングなどに、株主が会社の重要な意思決定、例えば取締役の解任をしたいと考えた場合、株主総会の開催が必要となります。
 ところが、会社法は、株主総会の招集は原則として取締役の権限かつ職責であると定めていますので(会社法第296条第3項)、取締役にとって不利な株主総会決議が予想されるような場合、取締役が株主総会を招集しないという事態が懸念されます。
 
 このような事態に対応するため、会社法第297条は以下のように定め、(1)株主から取締役に対する株主総会招集の請求と、(2)株主から裁判所に対する株主総会招集許可の申立の制度を設けています。

<会社法第297条>
(第1項)
 総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
(第2項)
 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
(第3項)
 第1項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
(第4項)
 次に掲げる場合には、第1項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
一 第1項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
二 第1項の規定による請求があった日から8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合には、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合 

 株主による株主総会招集請求と、同請求を受けても株主総会の招集がされない場合の株主総会招集許可の申立により、株主がイニシアティブをとって株主総会を招集することが可能となります。

 株主による株主総会の招集は以下の手順で行うこととなります。

  1. 株主から取締役に対する株主総会招集請求
  2. 株主から裁判所に対する株主総会招集許可の申立
  3. 株主による株主総会招集


 裁判所に対する株主総会招集許可の申立を行う場合、申立手数料として1000円分の収入印紙を申立書に貼付する必要があります。
 
 株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集した場合、招集の費用は当然会社の負担となるという考え方と、「合理的な額」を会社に請求できるとする考え方があります。


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